関西発着 日本山岳ガイド協会認定登山ガイドによる安心・安全な山旅ガイドサービス


【ガイド記録】2025.11/20 播磨アルプス 高御位山


兵庫県南部のご当地アルプス縦走

紅葉も終盤、初冬の季節に快晴の天候のもと加古川市と高砂市の境に聳える高御位山をご案内してきました。高御位山は標高304m、関西百名山に選定される名山で東方から見ると三角錐の山容が美しく、播磨富士の別名があります。低山ながら高度感のある岩場が連続し、展望も素晴らしいため播磨アルプスという呼び名も有名です。

今回の登山口は鹿嶋神社の駐車場から歩き始めます。駐車場入り口には巨大な鳥居があり、これは1998年に完成した大鳥居で高さは26m、鉄骨造りで表面はなんとチタン合金で覆われています。鹿嶋神社は一願成就のお社として知られており、祭神の建御雷神(タケミカヅチノカミ)は勝負事や武運の神様ですが、現在では安産祈願や合格祈願のご利益もあるとされ多くの参拝者が訪れます。表参道にはいくつかの商店があり、昔から柏餅が有名です。私たちも出来立ての柏餅を購入し、鹿嶋神社本殿へ向かいました。

立派なご本殿にお参りし、安全登山を祈願していよいよ登山開始です。稲荷社奥にあるイノシシ除けのゲートを通って登山道に入ります。

登山道を歩くとぐんぐん標高を上げ、次第に展望が開けていき、やがて百間岩という大きな一枚岩の登りにかかります。結構急な登りですが浮石などなく、登山靴のグリップもしっかりと利く岩場なので小股でゆっくりと歩きました。

百間岩を過ぎると反射板のある稜線に出ます。ここからは姫路市中心部の展望が開け、小さくはありますが世界遺産の姫路城も見渡すことができます。さらに播磨灘に浮かぶ家島諸島や小豆島、淡路島と本州をつなぐ明石海峡大橋も一望できる素晴らしい眺めに目を奪われます。

登山道の先を眺めるとこれから歩く縦走路がよくわかります。目指す高御位山はいかにも遠そうに見えますが、距離的にはそうでもなく、歩みを進めるとどんどんその姿が近づいてきます。

登山道は紅葉も終盤ですが、ひときわ目立つ赤い実を見つけました。これはサンキライという植物で漢字で書くと山帰来と表します。その由来は山に入った病人がサンキライを摂取して元気になって帰ってきたという故事にちなみ、実際に根茎を生薬の原料とし、解毒や抗炎症、体質改善などに効果があるとされています。別名はサルトリイバラと言い、ツル性の茎にはたくさんのトゲがあってそれを使えば猿も捕らえられそうだという見た目によるものでしょう。また新芽の頃の丸い葉は柏葉の代用としてお餅を包むのに使われていました。ちょうど今頃初冬の時期に赤い実が美しくなるので、正月飾りやクリスマスのリースに使われたりもしますね。

稜線の鷹巣山ピークにて昼食休憩をとります。各自それぞれのお弁当を広げて、食後にはコーヒーを。そして登山口で購入した柏餅を頂きました。塩味のある葉っぱの風味と甘すぎない餡が非常においしかったです。

昼食休憩を終えて出発すると足元に小さな白いお花が目につきました。キク科のコウヤボウキですね。小さくて草に見えますが実は木本、小低木です。名前の由来は昔高野山でこれを束ねて箒にしたことによります。そして近くの木の表面に一筋の茶色い筋があり、ナナフシだろうと思って触ると、羽を広げて逃げて行ったのはタイワントビナナフシという昆虫です。東南アジアなどの暖かい地域に暮らすナナフシの一種で、現在日本でも北方に分布を広げています。外来種だ、在来種であるという両方の意見がありますが、危険を感じると小さな羽でひらひらと落ちるように飛んでいく様はかわいらしいものです。

稜線を順調に進んでついに高御位山の山頂へ到着しました。最高点は大きな岩塊となっており、標高が僅か300m少しだとは思えない絶景が広がります。また立派なお社やきれいなトイレも完備され、くつろげるスペースが多くとってあり、流石の人気の高さがうかがえます。

岩稜と播磨灘をバックに記念写真を撮って、下山にかかります。下山の目指すポイントはため池の近くにある北山鹿島神社です。これまた非常に遠くに見えるのですが歩行時間としては90分ほど。下りも急な岩場が多いので慎重にゆっくりと下っていきます。

下山途中、東の方向を見ると遠く六甲山系を望むことができます。また最後の分岐から下ると断崖絶壁を横目に歩きます。見た目にも昔の採石場だと思われますが、実際に高御位山のすぐ東に流れる加古川の右岸地帯には、竜山石(たつやまいし)という石材を産出する石切場がいくつも存在しています。古くは古墳の石棺に、また姫路城の礎石や神社仏閣にと様々な場所で用いられる竜山石は加工のしやすさとその美しさで有名で、現在でも建材として使用されています。瀬戸内海周辺の山では花崗岩の山が多いのですが、この竜山石は1億年も前の水中に噴出した溶岩が急速に冷やされて堆積してできたものとされています。

登山道の終点、北山鹿島神社へ到着して、舗装路を歩きます。高御位山周辺には多くのため池があり、近年コウノトリが羽を休めるようになっています。今回は見ることはできませんでしたが、豊岡で放鳥されて約20年が経ち、様々な場所でコウノトリの姿を見ることができるようになったことは本当にうれしいことです。休耕田の一部ではまだコスモス畑のきれいなお花を見ることができました。

今日歩いてきた稜線を平地から一望しながら歩いて、スタート地点の大鳥居まで戻りました。今日は本当に快晴のいいお天気で汗ばむくらいの陽気の中、爽快な稜線縦走を堪能していただくことができました。この度ご参加の皆様、誠にありがとうございました。年明けにはさらなるご当地アルプスである小野アルプスを計画中ですので、ぜひまたのご参加をお待ちしております。

山旅ガイドサービス 井上


PAGE TOP